フロアレスシェルター自作 myog :proto1
投稿者: mikishin
モノポールシェルターを製作しました。テスト前提なのでプロトタイプ1とする。
先日、南大菩薩へテストも兼ねて行った際に紛失してしまったのです。。詳しくは下記に書くけれど、もし誰か見つけたらご連絡ください!
*Spec
fly:POWER RIP® T6016(spinnaker),dyneema X-grid
wide:250cm depth:180cm hight:110cm
weight:214g
*コンセプト
明るく発色の良い色で、幾何学的な美しさを持ったシェルターを目指したいと考えた。例えばハイキング文化としてはステルスキャンピングといったように自然の中に風景としてとけ込んで痕跡を残さないような一体感を楽しむ方法が浸透していると思う。一方で化学繊維や最新素材を山に持ち込むことには変わりないのも事実。自然と人工美が対比的に映えるような美しさについて考えてみることにした。たとえば建築において言えば、山の中の丸太小屋のような具象的なディテールよりも、ミニマルで抽象的な構成を基礎に持った建築の方が、幾何学や色彩といった「人工的な美しさを生かしながら」自然と調和することが出来るのだと思う。
緑の森の中で蛍光イエローのシェルは、風景一部の彩度のみトリミングしたような不思議な一体感をつくる。真っ白な雪景色の中では一点の人工色として表れながらも、雪面と同じ明度でキラキラと太陽光を浴びて光る。そんなことをイメージして製作した。
*形について
防水性能や強度を落とさないために、出来る限り裁断や縫製カ所を少なくする作り方、組み立て方をがいいと思った。
展開図を折り紙のように立ち上げる事で、縫製カ所は元生地の継ぎ目と防水ファスナーまわりだけになるよう設計している。そのためファスナーを開ければ、タープとして一枚に展開して使用する事もできる。
形は一般的なモノポールシェルターに良くあるピラミッド型の変形形式。ピラミッド型は単純で風に強く、設営もラクだ。ここまでシンプルで合理的な形式はもはやシェルターにおける様式であり文化だと思う。まったく新しい形式を考えだすよりも、大きさや立面、断面、フットプリントの幾何学を詰める事で、バージョンアップをはかれたら良いと思う。
フットプリント形状については120cm×250cmの長方形に、全室を作る頂点を60cm飛び出させた五角形プランになっている。一人の場合はゆったりとした空間で、二人でも使えるよう住空間の幅を120cmと広めにとっている。あまりタイトなシェルターは目指さず、二人でも一人でもゆるく使えるサイズ感を目指した。
高さについては耐風性や、見た目の関係で低めの110cmとして設計を進めた。モノポールシェルターとしてはミニマムな高さ設定かと思っていたが、実際は地面よりも5cmほど浮き上がって張られるので、実高115cmといったところ。実際に使用したところ、窮屈には感じずちょうど良かった。
試し張り当日は強風で、風にあおられて上手くリッジが出ないことがあった。
*素材について
素材はD-texのPOWER RIP® T6016というスピンネーカーを利用した。特徴として
・軽量 33g/m2 (ommで購入できる30dのシルナイロンが44g/m2 キューベンが25.3g/m2)
・発色が良い
・雨や結露などの水分を含みにくい
・裁断、縫製がしやすい
などが上げられる。
気をつけたいポイントとしては、シルナイロンのように伸びが無い素材なので、シワ無くピンと張るには縫製と設営の精度が必要だ。そのため各リッジラインの張力分散のバランスが重要になってくることがわかった。proto1では前室側の傾斜がきつくファスナー部リッジラインの張力が強くなりすぎてしまった。計算するとファスナー部リッジとの張力比が全室横のリッジラインで3.03倍、背面側リッジラインで2.44倍もの差が出てしまっている事がわかった。実際に張ってみると、張力差が明らかでバランスが悪く風に煽られやすい。ここは要検項目。
*防水性について
防水については縫い目を極力減らすため、折り紙のような構成とした。
縫製カ所はflat felled seamという基本的な防水縫製で継いでいる、元生地の継ぎ目と防水ファスナーまわりのみなので防水性は高い。スピンネーカーを切り出してシームテープを造りセメダインスーパーXで張り合わせ、シームシーリングとした。接着剤の付きが悪かったため次回はセメダインの同シリーズのハイパーワイドというやつを使ってみよう。PEやPPにも使えると書いてある。
補強カ所はダイニーマとした。同素材スピンネーカーで補強するか迷ったが、アクセントになるのでダイニーマ。
ただ全て同じ素材で作るのも美しいかと思うので、次回は検討したい。
写真だと分かりにくいけど、トレッキングポールの当たる頭頂部はスピンネーカー2枚張り(接着)となっている↓
ところが先日、南大菩薩へテストも兼ねて行ったのだけれど、妻と二人分のザックを林道脇(車も通れる)に40分ほどデポしている間に無くなってしまった。動物だとすれば30Lのザック二つなので周辺は少しは荒れるだろうし、紛失物としても出てこないから多分誰かに持っていかれちゃった。山の中でこんなことってあるのか!ショック!あり得ない事すぎて、もはや笑い話。
貴著品は持ってたので大丈夫でしたが、シェルターproto1は幻になった。
proto2作らねば。